ドイツ銀行とコメルツ銀行が統合交渉入り、影の主役はドイツ政府

ドイツ銀行とコメルツ銀行が統合交渉入り、影の主役はドイツ政府

Germany

ドイツ銀行とコメルツ銀行が経営統合に向けた交渉入りを発表しました。しかし影の主役はコメルツ銀行の大株主でもあるドイツ政府です。

約50兆ドルものデリバティブのポジションを持つと報じられるドイツ銀行は、金融環境の変化に脆弱な状態であり、ドイツ政府にとっては頭痛の種とも言うべき存在です。

金融環境に変化が生じ始めている中で、両行の経営統合の行方が注目されます。

ドイツ銀行とコメルツ銀行が統合交渉入りを発表

ドイツの第1位金融機関のドイツ銀行と、第2位のコメルツ銀行が統合の交渉入りを発表しました。

中国の景気減速を受け、FRBやECBは利上げ見送りを発表していますが、足元の金融環境は大きく悪化している訳ではありません。

また一般的には金融機関の合併は、規模の大きい会社が規模の小さい会社を救済合併するケースが多くなりますが、ドイツ銀行とコメルツ銀行の統合交渉は、一般的な風景と趣を異にします。

経営再建が進まないドイツ銀行

アメリカの金融機関は良くも悪くもリーマン・ショックで淘汰が進みました。投資銀行大手で生き残りが可能だったのは、ゴールドマンサックスとモルガンスタンレーの2社のみです。

ドイツ銀行もリーマン・ショック前に投資銀行として鳴らした存在でしたが、リーマン・ショックで大きな損失が生じました。しかし経営破綻や他社との合併することなく、対処療法で現在に至っています。

ただしドイツ銀行の抱えるデリバティブ残高は約50兆ドル(約5500兆円)とロイター等が報じており、対処療法では限界が見える中で、以前よりコメルツ銀行との経営統合が噂されていました。

よって今回の経営統合交渉はコメルツ銀行が主導する形となります。そしてコメルツ銀行はドイツ政府が約15%を出資する銀行であり、コメルツ銀行が自主的にドイツ銀行と統合するというより、ドイツ政府に背中を押されて統合交渉に入る形です。尚、コメルツ銀行自体もリーマン・ショックの影響で、ドイツの公的支援を経て経営再建を行っています。

ただし両行経営統合の際には大幅なリストラが予想されるため、労働組合は経営統合に懸念を表明しており、今後の統合交渉はいくらドイツ政府の後押しがあるとはいえ、一波乱ある可能性があります。

金融環境の潮目の変化が背景か

ドイツ銀行が抱える過剰なデリバティブのリスクは、何年も前から指摘されており、問題自体は今に始まったものではありません。しかしここに来て急にコメルツ銀行との経営統合の交渉入りが発表されたのは、ドイツ政府として金融環境の潮目を感じていることが背景にある可能性があります。

これまでは良好な世界経済を背景にドイツ銀行もどうにかやりくりの範囲でしのぐことが出来ましたが、金融環境が悪化し、仮に〇〇ショックといったような金融危機が生じた場合、ドイツ銀行は持ちこたえられない可能性があります。ドイツ銀行の抱えるデリバティブのリスクが一気に顕在化する事態となれば、その影響はリーマン・ショックを超える可能性もあります。

ドイツ銀行そしてドイツ発の金融危機、という事態はドイツ政府も当然望んでいません。よって中国の景気減速を発端として世界的に景気が曲がり角に入りつつある中で、ドイツ政府も遂にドイツ銀行問題の処理に重い腰を上げた、そんな可能性があります。

まとめ

金融機関の統合は金融危機の際に一気に進みます、リーマン・ショックが代表例ですが、日本でも2000年代半ばの金融危機の際に、一気に銀行の再編が進みました。

現在は金融危機という状態ではないものの、ドイツ銀行はリーマン・ショック以来、長らく重い荷物を背負ったまま経営をやり繰りしてきた経緯があります。

ドイツ銀行の抱えるデリバティブのリスクはコメルツ銀行と経営統合しても、それで全ての問題解決とはなりません。しかし問題解決の第一歩とはなります。

コメルツ銀行側に反対論も根強い中、最終的にドイツ銀行とコメルツ銀行は経営統合されて、ドイツ銀行が抱える巨額のデリバティブ問題について解決策が示されるのか。今後の両社の経営統合の行方が注目されます。

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