中国政府の金投資が昨年12月に急拡大、金相場上昇の一因か?

中国政府の金投資が昨年12月に急拡大、金相場上昇の一因か?

昨年12月、中国政府が金を大幅に買い入れた事が判明しました。12月の金価格の上昇は、リスクオフ時の金上昇の典型的な値動きと言えます。世界的な株価下落の反面、リスクオフで金が上昇しましたが、その一端は中国がになっていた、と言えそうです。

昨年12月の中国政府による金投資額の急増が明らかに

「中国の金保有量は昨年末に1852トンと前月末より10トン増えた。増加は16年10月以来だ。金額ベースでは約760億ドル(約8兆円)となる。(2019/1/24日本経済新聞)」

日経新聞によると、昨年12月に中国政府の金保有量が急拡大した模様です。昨年12月は貿易摩擦で米中間の関係が急速に冷え込んだ時期であり、また株式市場が急落した月として記憶に残っています。そのような時期に中国政府が金を大量購入していた事実は、非常に興味深いと言えます。

12月に大幅上昇した金価格

2013年末以降、金価格(ドル建て)は1,000~1,400ドルのレンジ相場を形成しています。また年々値動きが縮小しつつあります。そんな金価格ですが、2018年に最も動いたのは12月です。12月は株式市場の急落の一方で、金価格は年内最大の上昇を見せています。

・ドル建て金価格の月足チャート

そして金価格上昇の背景にあったのが、中国政府による大量の金買いとなります。普段為替取引を行っていても、各国が採用する通貨について中央政府の存在は殆ど意識しませんが、指標や金利の発表で政府の存在は意識せざるを得ません。

そして債券や金そして原油の場合も、その取引に際し政府(原油は政府というよりOPEC)の存在を抜きに行う事はできません。また株式トレードは株式を発行している企業、金や原油は実物資産、債券は文字通り債券というモノが存在する中、為替トレードで対象となる通貨ペアは、2つの通貨の集合体です。よって為替は取引可能な対象物の中でも、実態が存在しない珍しい対象物です。

リスクオフで買われる金

金融市場ではリスクオンとリスクオフの、2つの状態が入れ替わります。主に米国の株式市場の状態から、リスクオンとリスクオフを見分けるケースが多くなります。

そして米国の株式市場の下落が続き、リスクオフと言われる時期に発生する傾向にあるのが、金価格の上昇です。

金はかつて金貨などで支払いに利用されていたように、通貨に類似の性質を持っています。また第二次世界大戦以前の世界の金融市場は「金本位性」で、各国の信用力は金の保有量をベースに考えられていました。現在は各国で変動相場制が採用されており、国の金保有量がそのままその国の信用力に直結する訳ではありません。

しかしながら実物資産としての価値が存在し、通貨に類似の金融資産としての側面を有する金は、リスクオフの際に資金の逃避先として買われる=価格が上昇する傾向があります。

金価格の12月の上昇はまさに。リスクオフの際の金価格の上昇の典型例です。そしてその金価格上昇の背景には、中国政府による金投資が絡んでおり、株式市場・為替市場・商品市場(今回は金)は世界的には繋がっている、という現象を、昨年末の株式市場の急落と金価格の上昇から見てとることができます。

まとめ

金融市場には様々なプレイヤーが参加しており、各国の中央政府も債券市場等を通じて金融市場に参入しています。

日本政府が金を購入するケースは殆どありませんが、中国を始めとする国では中央政府が金を購入するケースもあります。そしてその購入行動が、各金融市場に影響を与えることになります。

若干抽象的な話となりますが、各金融市場の関係性を知る面白いニュースと思い、中国政府の金購入を取り上げました。今後の金融市場を見る際の1つの視点として捉えていただければ幸いです。

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