政府への抗議デモで日産に関わっている場合ではないフランスのマクロン大統領

政府への抗議デモで日産に関わっている場合ではないフランスのマクロン大統領

ルノー

フランス政府がルノーと日産の経営統合を求めています。ゴーン元会長が去った後のルノー・日産連合の行方が注目されます。

ルノーと日産の統合を最初に仕掛けたフランスのマクロン大統領は、政府に対する抗議デモへの対応に追われる中で、ルノーと日産の統合という手柄をあげることができるのでしょうか。

日産ゴーン元会長がルノーの会長を辞任へ

日産ゴーン元会長の電撃的な逮捕から2ヶ月が経過する中、これまで兼任していたルノー会長を辞任することが明らかになりました。ルノー側は逮捕より一貫してゴーン氏を守るスタンスを取っていましたが、ルノーの大株主であるフランス政府がゴーン氏を説得したと報じられています。

フランス政府がルノーと日産の経営統合を要求

既にゴーン元会長逮捕以前より噂されていましたが、ゴーン元会長そしてルノー会長の辞任の流れの中で、フランス政府は正式にルノーと日産の経営統合を要求しています。

現在ルノーは日産の43.4%の株式を保有する筆頭株主です。一方で日産はルノー株の15%を保有しています。資本関係ではルノーが日産株の多くを持っている状態ですが、事業規模は日産がルノーより巨大な存在であり、ルノーの決算書上の利益の多くは日産から得られています。

またルノーにはフランス政府が15%の株式シェアを保有する筆頭株主として存在しており、フランス政府はルノーに対して大きな影響力を有しています。そんなフランス政府は自国内での雇用の確保等を目的として、ルノーと日産の提携の深化、即ち経営統合を求めています。

ルノーと日産の経営統合の仕掛け人はマクロン大統領

ルノーと日産の提携関係は、かつては日産の救世主であったゴーン氏の存在があってこその面があります。微妙なバランスの上に成立していた日産とルノーの提携関係を、経営統合によりフランス側有利なものにしようと、最初に仕掛けたのはマクロン大統領と言われています。

マクロン大統領は前政権のデジタル・産業大臣の時代に、ルノーと日産の経営統合を仕掛けましたが、ゴーン会長及び日本政府の反対によりあえなく失敗しています。

マクロン大統領は政界入りする前は、ヨーロッパの名門投資銀行ロスチャイルドでマネジングディレクターまで務めた投資銀行家です。企業のM&Aは得意分野といえ、ルノーと日産の関係に目を付けたのは、投資銀行出身者としては自然な流れです。

前政権時代の目論見は失敗に終わりましたが、フランス政界の混乱もあり、その後フランス史上最年少の大統領として政権に復帰。再び大統領という立場から、ルノーと日産の経営統合をバックアップしています。

フランス全土で反政府デモが継続中で政府は対策に追われている

フランス史上、最年少大統領として颯爽と登場したマクロン大統領ですが、社会主義的な体制が色濃く残るフランスで、自由主義的な改革を行い、支持率は大幅に下落しています。

そして2018年末には、マクロン政権に対する抗議デモがパリを中心に全国各地で発生しました。デモ参加者が黄色いベストを着用していることから、「黄色いベストデモ」とも呼ばれている毎週土曜のデモは、これまで10週間連続で行われています。

フランス全土を覆う抗議デモに対し、フランス政府は地方自治体の長との対話を始めるなどの対応策を開始しています。しかしデモが鎮静化する動きはなく、フランス政府は頭を悩ませています。

ルノーと日産が統合すればマクロン大統領の手柄となる

ゴーン氏のカリスマ性の上に成立していた日産とルノーの提携関係を、自らの得意分野として崩しにかかったのがマクロン大統領です。当初は経営統合に反対していたゴーン元会長がほぼ退場した現在、ルノーと日産の経営統合は次のプロセスに進むことになります。

マクロン大統領としては、ルノーと日産を経営統合させてフランスに雇用をもたらした、と表明できれば大きな手柄となります。抗議デモが発生している中では、特に手柄が欲しくなるのは当然です。

最終的にルノーと日産がどのような形となるのか、まだ何も見えていません。ただしここまで来ると、これまでのような緩い提携関係の維持は不可能と考えられます。今後ルノーと日産がどのような関係になるのか、マクロン政権の行方にも大きな影響を受けるのではないでしょうか。

以上

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