間違いなくもめるイギリスのEU離脱の再交渉、バックストップについて

間違いなくもめるイギリスのEU離脱の再交渉、バックストップについて

間違いなくもめるイギリスのEU離脱の再交渉、バックストップについて

2月からイギリスのEU離脱を巡り、イギリスとEUの再交渉がスタートします。

再交渉のポイントは北アイルランドを巡る国境問題、そしてそれにともなうバックストップと言われる措置です。

バックストップについて、その歴史的な背景とともに簡単に解説いたします。

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Elionas2 / Pixabay

2月からEU離脱についてイギリスとEU間の再交渉が始まる

イギリスのEU離脱問題は1月は色々な話題がありましたが、基本的にイギリス国内でどう意見集約するかの問題であり、交渉相手のEUの存在は二の次となっていました。

1月29日にイギリスの対EUとの交渉方針がまとまり、2月からイギリスとEU間で再交渉が始まります。

しかし簡単に言えばメイ首相は議会から、既にEUとの交渉過程でボツとなった案を再度提案してこい、と指示されているに等しく、客観的にEUとの交渉がうまくいくとは思えません。

アイルランドが現行のイギリスのEU離脱案の修正に反対しており、EU側としても譲歩の余地が殆ど残されていません。そしてイギリスとEUの間に最大の問題として残されており、解決の目処が全く立っていないのが北アイルランドの国境問題です。

バックストップについて

イギリスがEUから何の準備もなく離脱、いわゆる合意なき離脱となると、物理的にイギリス領北アイルランドとアイルランドの間に国境が復活します。これまでEU加盟国同士、物理的な国境なく人とモノの移動が可能でしたが、検問所等が復活し人とモノの移動が大幅に制限されます。

北アイルランド及びアイルランドの双方が物理的な壁の復活を望んでいません。よってEU離脱案では、国境管理のための解決策が見つからなければ、イギリスのEU離脱移行期間後もイギリスはEU関税同盟にとどまり北アイルランド国境は現在のままとなります。これがいわゆるバックストップです。

しかしイギリスは本条件のため、EU離脱後もEUの関税ルールに従う必要があり、またその間はEU以外の国や地域と新たな貿易協定の締結ができません。要は北アイルランドの国境問題のため、イギリスはEU離脱後も自由な経済活動ができない状態が継続します。またバックストップについては期限が定められていません。

バックストップは離脱賛成派・反対派の双方の評判が悪く、結果的にメイ首相は議会からバックストップの見直し交渉をEUと行うことを指示されるに至っています。

しかしバックストップはイギリスとEU間の様々な交渉の中でまとまった案であり、イギリス側のわがままで何とかなるものではありません。

イギリスもEUも北アイルランド紛争の再発だけは避けたい

イギリス現代史において、北アイルランドの帰属をめぐる北アイルランド紛争は負の歴史として刻まれています。過激派によるテロ活動により多くの犠牲者が出た北アイルランド紛争が和平に至ったのは1998年であり、まだ20年しか経過していません。

北アイルランドとアイルランド間の物理的な国境設置は、経済面のマイナスもさることながら、北アイルランド紛争再発に繋がりかねないリスクがあります。イギリスが北アイルランドの物理的国境設置をよしとしないのは、過去の悲劇を繰り返したくない、という思いが大きな背景にあります。

またEUも北アイルランド紛争の惨劇を対岸から眺めており、悲劇を繰り返さない、という点ではイギリスと認識が一致しています。それもあり当初の離脱交渉に比べると、EU側も随分と折れています。しかしこれ以上の譲歩は難しいというのが、現行のEU離脱案そしてバックストップです。

まとめ

EU離脱の国民投票時、北アイルランド地域の殆どはEU残留を望む結果となっています。よって北アイルランド住民も国境復活を望んでいません。

イギリスの北アイルランドを巡る歴史は、紳士の国=イギリスのイメージとは異なる血で血を洗う歴史があります。それだけにバックストップ問題の解決は簡単ではない側面があります。

単なる経済問題だけではない、歴史問題も絡むイギリスのEU離脱を巡る問題。最終的にどのような形でイギリスはEUを離脱するか分かりませんが、北アイルランドが今後クローズアップされるのではないでしょうか。

以上

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