地方の雇用危機、イギリスでEU離脱を前に自動車生産の撤退・縮小が相次ぐ

地方の雇用危機、イギリスでEU離脱を前に自動車生産の撤退・縮小が相次ぐ

地方の雇用危機、イギリスでEU離脱を前に自動車生産の撤退・縮小が相次ぐ

Brexit

イギリスではEU離脱を前に、各自動車メーカーによる生産の撤退・縮小の表明が相次いでいます。

雇用吸収力の高い自動車産業は、進出地域の雇用に大きな影響を与えるため、各自動車メーカーのイギリスでの生産の縮小・撤退発表は、イギリス社会に衝撃を与えています。

遂にイギリスのEU離脱に伴う痛み部分の表面化が始まった、と言えるのではないでしょうか。

イギリスで自動車生産の撤退・縮小が相次ぐ

合意なき離脱の可能性も高まるイギリスのEU離脱ですが、3月29日のEU離脱を前に自動車メーカーによるイギリスからの生産の撤退・縮小発表が相次いでいます。

既に発表がなされたのは下記3社です。

・ジャガー・ランドローパー 4500人のリストラ

・日産 次期型エクストレイルの生産撤回

・ホンダ 2021年中にイギリスでの生産終了

日系の自動車メーカーでは日産が次期型エクストレイルの生産撤回を発表済です。既にイギリス政府は日産に対して開発支援金として約86億円の支援を行っており、今後問題化する可能性があります。しかし日産はイギリスからの自動車生産を撤退する訳ではなく、まだ問題としては小さいと言えます。

一方のホンダは、2021年に欧州唯一の自動車生産拠点のあるイギリス工場での生産終了を2月19日に発表しました。日産の場合は次期型エクストレイルの生産撤回であり、雇用や投資は少なくとも大きなマイナスにはなりません。しかしホンダの場合は撤退であり、これまであった雇用や投資がなくなることを意味します。

自動車業界は部品業界含め裾野が広く、雇用吸収力が高い産業です。当然、ホンダとともに関係会社が数多く日本からイギリスに進出しています。しかしホンダのイギリス撤退により、ホンダと共に関連会社もイギリス撤退となる可能性が高いと言えます。よってこれまでイギリス南部スウィンドンに工場を置いていたホンダの撤退は、同地域の雇用に非常に大きな影響を与えると予想されます。

ホンダのイギリスでの生産撤退について、イギリスの衝撃は日本とは比べ物にならない大きさとなります。

地方が決めたEU離脱が招いた皮肉な結果

2016年にイギリスは、国民投票でEUからの離脱を決定しました。EU離脱が3月29日に迫る中で、自動車メーカーの生産撤退・縮小のニュースが続きますが、自動車工場の多くは地方都市にあります。

国民投票の際は大都市ロンドン、そしてスコットランドと北アイルランドは残留が多数となりました。しかしそれ以外の主にイギリスの地方地域では、EU離脱に賛成が多数を占めました。

そして結果的にEU離脱を契機に、イギリスの地方にあった自動車工場が撤退・縮小に向かっており、それらの地域の雇用が危ぶまれる状態となっています。

地方が決めたEU離脱のつけを地方が自ら支払う結果となっている、という当然と言えば当然の事態ですが、EU離脱の厳しい現実が表面化しつつあると言えるでしょう。

イギリスで自動車を生産する上位5社が全て生産撤退や縮小を検討する非常事態

イギリスで自動車を生産している上位5社は下記です。

1位 ジャガー・ランドローパー 544,401台

2位 日産 507,444台

3位 BMW 210,973台

4位 トヨタ 180,425台

5位 ホンダ 134,146台

(年間の生産台数、JETRO資料より)

上位5社の全てが生産縮小を発表(ジャガー・ランドローパー)、生産を終了(ホンダ)、生産縮小などを検討(BMW、トヨタ)と、イギリスにとっては非常事態となっています。

イギリスが自らが選んだEU離脱という判断ですが、EU離脱を目前に控え、いよいよその影響が具体的に表れ始めています。

雇用吸収力の高い自動車メーカーによるイギリスでの生産の撤退・縮小が、イギリス経済にどのような影響を与えるのか、今後注目されます。

以上

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