急騰する上海市場は2018年7月の高値を超えて上昇中
米中貿易交渉の成功期待を背景に、ダウ平均他の米国株式指標が上昇しています。しかし交渉相手の中国の上海総合指数を見ると、2月は米国指標以上の上昇が見られ、2018年7月の高値を超える程です。
上海総合指数の足元の値位置について、チャートを用いて解説しました。上昇により入った、サポート&レジスタンスを抜けられるかが注目されます。
米中貿易交渉の中、上海市場が急騰
米中貿易摩擦解消のため、米中間で貿易交渉が行われています。3月1日に予定されていた米国による中国への関税発動は延期され、市場では米中間の交渉が順調に行っている、との観測が広がっています。
そして米国の株式市場は、米中貿易交渉の成功を先取りする形で上昇。12月後半に急落したダウ他の米国株式指標ですが、1~2月にかけ急回復し2月には12月高値を更新しました。また11月高値を伺う水準に位置しており、12月後半の下落は完全に行って来い相場となりました。
・ダウ平均の日足チャート(画像はTradingView、以下同様)
急騰する2月の上海総合指数
米国の株式市場にどうしても視線が行きますが、米中貿易交渉の相手方の中国の株式市場はどのような状態になっているのでしょうか。
下記が中国を代表する株式指標の、上海総合指数の日足チャートです。
・上海総合指数の日足チャート
上海総合指数は2019年1月に底打ちした後、1月は緩やかな上昇となりましたが、2月に急騰。特に2月25日は窓を開けて一気に上昇しました。チャートを見ると、2017年・2018年に同様の長さの陽線を形成した日はないため、2月25日は上海総合指数にとって特筆すべき上昇のあった1日となっています。
上昇の勢いを感じる月足チャート
上海総合指数の月足チャートが下記となります。
・上海総合指数の月足チャート
2月の上昇は月足で見ても非常に特徴的です。また上海総合指数の月足チャートは長い陽線が形成された後は、上昇トレンドが継続する傾向にあり、2月の急騰は今後の上昇に向けた号砲となる可能性があります。
3,500ポイントを超えられるかが鍵
チャート的には2月は力強い上昇を見せていますが、3,000~3,500ポイントに過去2度反転したサポート&レジスタンスが存在します。
よって上海総合指数が上昇の場合、3,500ポイントが明確に超えられるかどうかが最初の鍵と考えられます。
ま3,000~3,500ポイントは2015年と2017~2018年にかけてサポレジとなったのみならず、2009~2010年にかけてもサポレジとなった歴史ある抵抗帯です。
よって3,000~3,500ポイントのゾーンは、非常に抜けにくい価格帯、と考えることができます。
2月の上海総合指数の上昇は、更なる上昇に対する期待も抱くこともできます。しかしチャート分析の観点では、2月の上昇後の値位置の3,000ポイント付近は過去から続く強い抵抗帯に入った状態です。よって過去に逃げ遅れた投資家が売り注文を待ち構えている領域とも考えられます。これらから、今後の上昇を短絡的に考えられるゾーンではない、という認識も必要となります。
まとめ
3月以降も引き続き上海総合指数が上昇するかどうかは、未知の部分があります。しかしながら2月の上昇は、近年稀に見る上昇となりました。
米中貿易交渉の進展を楽観視した米国株式市場は上昇トレンドが継続中ですが、もう一方の当事者である中国の上海総合指数は、米国の株式指標を遥かに上回る上昇を演じていたことが分かります。
米中の株式指標を見比べると、幅広い視野で金融市場を見渡すことで、利益を得やすい市場を発見できる、ということが実感できます。
米中貿易摩擦が相場のテーマとして続く間は、ダウ平均などの米国の株式指標だけではなく、上海総合指数などもフォローすることで、新しい投資機会も得ることができるのではないでしょうか。
以上